ウォール・ストリート・ジャーナル 2月15日(月)16時17分配信
「金銭面での不貞行為」という言葉を聞いたことがあると思う。恋人や配偶者が買い物、請求書、債務、給料、銀行口座や現金について隠したり、うそをついたりすることである。それを自分で経験したという人も少なくないだろう。
新しいデータは状況の悪化を示唆している。全国金融教育基金と調査会社ハリス・ポールによる1月の調査によると、交際または結婚している成人の3分の2は恋人や配偶者と財布を一緒にしているが、このうち42%が金銭面での不貞を働いていた。ちなみに2年前の割合は33%だった。
こうした数字を見たとき、最初にどう思っただろうか。男女をめぐる固定観念が浮かんだという人もいるだろう。ショッピングバッグを隠したり、へそくりを貯めたりは女性の方が頻繁に行っているのだろうか。食費をギャンブルに使い込んだり、株式・債券口座を隠し持っていたりするのは男性が多いのだろうか。
自分とは違う性別を非難したくなるのは自然なことだが、金銭面での不貞に関しては男女で同じくらい行われている。
男女が財布を一緒にすることに合意した場合、お金の管理における一定の協力や透明性にも合意したことになる。2人のお金をまとめて運用すると、共同の金銭的目標も達成しやすくなる。
それでも、そうした暗黙の約束は破られている。要するに、男女は協力していると言いいながら、それぞれが勝手に行動している場合が多いのだ。金銭面での不貞はその規模にかかわらず相手を傷つける。少額のお金に関する隠し事やうそは、大金の場合と同じくらい2人の関係性を損ねる可能性がある。
実際、金銭面での不貞を働かれた人の75%が2人の関係性に影響が出たと述べた。口論、信頼の低下、別居、さらには離婚の原因にもなる。2人でその問題に取り組んだ後、より親密になって一緒に成長できたと述べたのはわずか10%だった。
当たり前だが、そもそも互いにごまかさないようにするというのがの最善策である。それを踏まえた上で、金銭面での不貞のリスクを減らす5つの方法を以下に紹介する。
1. 両者がともに支持できる金銭的な目標を設定する。互いの話を聞き、目標達成のためにチームで取り組むことに胸を躍らせよう。
2. 事前に設定した自由に使える金額については互いに干渉しないようにする。互いのお金の使い方に関する否定的な考えについては自分の胸に秘めておくようにしよう。
3. それぞれの購入金額の上限を決めておく。それ以上になる場合には、実際の購入前にパートナーに相談しなければならない。
4. パスワードが共有された金銭上の記録管理をする場所を作り、すべての口座へのアクセスを自由にする。日々のお金のやり取りをどちらか一方だけが行っている場合、抑制と均衡が特に必要になる。
5. 金銭的に脱線してしまったとき使える免罪符――家計への影響が比較的小さい違反のための安全地帯――の条件で合意しておく。
お金のことで非難されたり、恥ずかしい思いをするリスクを払拭できれば、財布を一緒にすることにはカップルにとって強力なメリットがあるということに気付くだろう。
(筆者のテッド・ベック氏は全国金融教育基金の理事長兼CEOで、「若年層の金融ケイパビリティに関する大統領諮問委員会」の委員、ジャンプスタート連合の会長も務めている)